
渡辺 重治
ワタナベ シゲハル
名古屋オフィス
2009年6月の転職コラム
2009年6月11日
私は10年前、あるパッケージメーカーの営業をやっていました。
主な製品は、お菓子や食品などを包装する「袋」や「箱」です。
すべてオーダーメイドでデザインから関われましたし、
実際に自分の手掛けた商品が店頭に並んだりするので、
とても面白い仕事でした。
10年たった今でも当時自分が関わった商品がスーパーやドラッグストアに並んでいたりします。
「お!これ、ほとんどデザイン変わってないじゃん」
「うわ~、まだこれ売ってるよ。この仕事取るの苦労したなぁ」
買い物をする度に、昔を思い出して、遠い目になるものです。
しかし良い思い出ばかりではありません。
当時のクレームやトラブルがフラッシュバックして
アンニュイな気分になる事も多いです。
特に私が冷や汗かくのは「アロマ用品」の売り場です。
ある事件を思い出して、
とても癒されない気分になるのです。
当時、私は、あるローソクメーカーを担当していました。
アロマキャンドルが流行りだした頃で、
「キャンディキャンドルをつくろう」という企画が動いていました。
キャンドルは勿論お客様側で手配します。
直径30ミリ、高さ20ミリ程度の小さなキャンドルで、
色は5種類ほど、それぞれにフルーティでフラワーな香りが付いていました。
それを飴玉の個包装のような袋詰めにするというのが私の仕事でした。
(キャンディのようなキャンドルというわけ)
デザイン案を提案するところから始まり、
袋の寸法設計、材質の選定などを経て、
最終工程で個包装の袋詰め充填ができる業者も探し、
袋の両端をギザギザにカットする工程も手配するなど、
関係各所を巻き込んで駆けずり回りました。
すべての仕様が決定し、いよいよ初回ロットの生産開始です。
最初の、表柄の印刷工程には、私だけでなく、
上司の営業課長や、工場長、印刷課長など
そうそうたるメンバーが立会いました。
やがて、表柄の刷り上りサンプルが上がってきました。
色味、柄の位置、ロゴマークなど、すべて仔細にチェックします。
「なかなか良いんじゃないですか?」
「うん、これは売れるぞ!」
ふと営業課長が指摘しました。商品説明文を見ながら、
「ん~、なになに?『このキャンドルの燃焼時間は24時間です』? おい、ナベ(私)」
「はい」
「この中に入るローソクってこれくらいの大きさなんだよな?」
人差し指と親指の間に2センチほどの隙間をつくって、私に見せました。
「はい、それくらいの大きさです。小さなアロマキャンドルです」
直径30ミリ、高さ20ミリですから。
「すげえな。そんな小さなローソクが24時間も燃えるのか」
工場長も印刷課長も感嘆の声を上げました。
「ほう」
「たしかにそれはスゴイ」
ハイ、お察しの通りです。
小数点が抜けていたんです。
20ミリのローソクが24時間も燃えるわけがありません。
正解は2.4時間です。
しかし、その場にいたメンバーは誰も疑問を抱かなかったのです・・・・・。
ギリギリのところで市場に出回る事はありませんでしたが、大クレームになりました・・・。
「オメェラぁ アホぅか!!」
私と課長は、巻き舌の部長の前で仲良くうなだれていました。
事務所の真ん中で怒られていたので、他の営業にも丸聞こえ。
事態は深刻ですが、あまりに間抜けで、あちこちから失笑が漏れていました。
教訓 : 素直さは、時に、思い込みという悪癖を招く。
ボクたちは、あまりに、純粋すぎた・・・。(アホぅか!)