
渡辺 重治
ワタナベ シゲハル
名古屋オフィス
2011年6月の転職コラム
2011年6月7日
百貨店の喫煙所には、
いかにも女っ気のなさそうなむさくるしい男たちが、
モクモクとタバコを吸っていた。
そこへデート途中の若いカップルが入ってきた。
女のキャンキャンした声が喫煙所に響き渡る。
「え~スゴ~イ! 大きな会社で働いてるんだネ!」
「いやいや、そんなことないって」
場違いな華やかさが、まぶしい。
むさくるしい男たちは、若い男女からあえて目をそむける。
「ネェ、ひょっとしてオイシイ店とかいっぱい知ってる系?」
「そうでもないよ」
「オイシイ料理、いっぱい食べてる系?」
「まぁ時々なら」
男たちは、うつむき、無言になる。
「いいなァ。私、最近、オイシイもの食べてない系なの~」
俺たち、オイシイもの、めったに食べない系。
「なんなら、今度行こうか? 何処がいい?」
「エ~、行きつけの店とか連れてってェ~」
「なだ万とかで良いなら」
「なだ万~? スゴ~イ! そんなトコ、連れてってくれるのォ?」
「まぁね」
「なだ万なんて行っちゃってる系なの? スゴ~イ、うれしい系~!」
場違いに華やかなカップルは、
嵐のように喫煙所を去っていった。
取り残されたむさくるしい男たちは、同じ事を思っていたはずだ。
「なだ万か・・・・・」
人は案外、ふとしたきっかけで転職を考え始めるのかもしれない。
さて、仕事に戻るか・・・・・。